
●ホイールをはじめ、形状が複雑なものへのクロームメッキついての注意事項
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※なおこのページの説明はアルミホイールを中心に書いていますが、ホイールに
限らず、クロームメッキをおこなう製品(とくにアルミ鋳物)全般に共通します。
●当方でおこなうホイールへのメッキはスパッタリングがほとんどなのですが、絶対数は
少ないのですがお客様の要望でクロームメッキをおこなうこともあります。
クロームメッキはスパッタリングに比べて、表面硬さや光沢において有利ではあるのですが
下地処理に非常に手間がかかるとともに、メッキ作業においても電解メッキであるがゆえの
難しさというか、特性があります。
今回はそれについて少しでもご理解いただけたらと思い、具体例を上げたいと思います。

↑これはスクーター「フュージョン」のホイールへクロームメッキを施したものです。
フロント12インチ、リア10インチほどのサイズです。
全体には綺麗に仕上がっているように見えますが、じつは細部については以下のような
仕上がりになっている部分があります。

↑これはリアホイールのフィン状になったスポークの部分ですが、薄金色になって
いるのがわかると思いますが、この部分はクロームメッキがついておらず、下地の
ニッケルメッキが見えているためです。

↑これはフロントホイールのハブ部分。 こういった深く落ち込んだ部分にも
クロームメッキはつきません。
●実は電解クロームメッキというのはこうした凹部、穴の内部、袋状になった部分、隅部
や表面が荒れた場所などには非常につきまわりの悪い特性があるのです。
ですので、こうした細かいディティールの奥のほうまで満遍なくメッキをかけるというのは
非常に難しいのです。 ホイールの場合、リムの浅いディッシュ状のホイールであれば
まだそれなりにいい仕上がりをするのですが、この写真のような径に対してリムが深く、
かつ複雑なデザインのホイールはどうしてもこうした奥まった部分が「まだら」な仕上がり
になることがあります。
とは言え、全体には光りますのでほとんどの方は、あまり気にされないのですが、神経質な
方や、細かい仕上がりにこだわる方の場合は納得されないお客様がいることも事実です。
とりあえず、全体をバフで磨いたあとに普通にメッキをつけた場合は、隅部や奥まった箇所
については、上記のような仕上がりになることがありますので、参考にしてください。
なお、これは市販されているクロームメッキホイールでも、ディティールの細かいものは同じ
ようになっていることがあるのでわかると思います。
もちろん、これらはホイールに限らず、クロームメッキする品物全般に言えることです。

↑これはアルミヘッドカバーのクロームメッキ例ですが、中央部の凹部には下地の
ニッケルメッキはついていますが、クロームメッキはついていません。
もっとしっかりバフで磨けばもう少し奥までクロームメッキもつきますが、基本的
にこのような形状の狭い凹部にはクロームメッキはつきにくい特性があるのです。
●素材について
当方ではとくに最近はホイールのクロームメッキはお断りしていることが多いです。
それは「素材がクロームメッキに向いていないものが多い」からです。 実は、鋳造であれ
鍛造であれ、クロームメッキを前提とした素材は不純物や内部の気泡(鬆)が少なく、より
良質なものが使わているのですが、通常の塗装仕上げや研磨仕上げだけのものはこうした
メッキ前提の素材より質が悪く、このようなものにクロームメッキをすると、メッキの
浮きや剥離、ザラツキなどのトラブルが多く発生し、品物にならないのです。
しかももうメッキ処理をおこなってしまったものを元どおりにすることもできません。
ですので、当方ではここ最近はホイールについてはクロームメッキはできるかぎり避け、
ほとんどをスパッタリングメッキにておこなっています。
●表面状態について
腐蝕や錆びの生じている素材の場合は、メッキの浮き、ザラつきなど仕上がりの悪化に
つながります。
たとえば、アルミの腐蝕などでメッキ前のバフで一見、腐蝕が綺麗に取れたように見えても
メッキするとその部分のメッキが浮いたりすることがあります。 腐蝕というのはいわば
カビのようなもので、表面的に綺麗に消えたように見えてもじつはその根は深く浸透して
おり、それがメッキをする際に悪さをして仕上がりを悪化させてしまうのです。
ですので、アルミ等の腐蝕、鉄などの錆びの生じているものへのメッキの場合はこうした
原因による仕上がりの悪化はしかたないものをご了承のうえでお願いします。

↑これは腐蝕が酷かったアルミ鋳物へクロームメッキした例です。
メッキ前にはできる限りバフ研磨にて腐蝕は取るのですが、腐蝕の根は深いため、
メッキするとどうしても浮き出てしまうことがあります。 また、これは腐蝕に
限らず、もともとの鋳物の質が悪い場合や鬆の多い製品でもこうした浮きが残る
ことがあります。 こればかりはメッキ作業のほうでは対処に限界があるのです。
●すでにクロームメッキを施してあるアルミホイールへの再メッキについて。
当方ではすでに新品時にクロームメッキが施してあるアルミホイールの再メッキを稀に
おこないます。
この場合は、基本的には可能なのですが、腐蝕やメッキ剥がれの状態によって仕上がりが
あまり綺麗にならないことがほとんどです。
再メッキするためには当然のことながら現在残っているメッキを一度剥離しないとダメなの
ですが、問題はこの剥離の際に使用する酸がアルミの素地を侵してしまうことがあります。
つまり、ところどころメッキが剥がれている状態の場合、この部分だけが他の箇所よりも
虫食いのように食われてしまうため、これをその後の磨き作業で消すことがかなり困難と
なりますので、深い場合はその痕跡が取り除けないことがあります。
しかも、一度メッキを剥離したアルミは表面が変質してしまうため、再クロームメッキ
しても新品のような仕上がりにはなりません。 必ず仕上がりが悪化します。
また、これは非常に重要なのですがアルミの単一素材であることが必要です。 ホイール
によってはホイールナットの座面や、センターキャップの取りつけネジ部などに鉄製の
ブッシュが圧入されていることがあるのですが、こうしたアルミ以外の材質の部品が組み込
まれているとアルミ用のメッキ剥離液に浸けた場合、この鉄製のパーツだけが激しく腐蝕
されて溶けてしまうのです。
あと、クロームメッキは基本的に1ピースホイールでお願いします。
2ピース、3ピースでもできないことはありませんが、クロームメッキの場合はほとんどの場合
そのままでは不可能です。 ディスクやリム、ボルトなどはすべて分解して処理をおこなう
必要がありますので、きちんとした技術のある専門の業者に分解していただき(ホイールの分解
組み立てはノウハウのいる作業ですので、素人さんの分解組み立ては危険です)処理後にまた
組み立てる必要があります。 なお、この作業は当方ではできません。
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