●ロールとスタビライザーについてのひとこと

横ロール。

クルマがコーナーをまわる時に必ず伴うこの物理現象はクルマを速く走らせるためにも

あるいは、安全に走らせるためにも重要な要素です。

多くの場合、厄介者あつかいされるロールですがこと空力による抑えが効かないハコ車に

関してはなくてはならないモノで、セッティングする上でいくつかポイントがありますね。

まず、ロールと一言に言っても大別すると「絶対ロール量」「ロールスピード」「前後の

ロールバランス」に分けて考える必要があります。

 

この中でもっとも我々が体感するものでは「ロールスピード」です。つまりスラローム等

での切り返しでの「おつり」という現象などがこれです。 これはクルマの旋回とロールの

タイミングがずれることによって起こることですが、往々にしてアクセル/ブレーキの

タイミングや、クリッピングポイントの取り方によっていくらでも改善できますので、結局は

ドライバーの技量が足りない場合がほとんどでしょうか(笑)

それでもセッティングよって変えることも事実で、これはショック、それも縮み側の減衰力が

大きく影響してきます。

因みにクルマがロールする際には「内側が伸び、外側が縮む」のが当たり前ですが、外側の縮む

量より内側の伸びる量が多いのを「ジャッキアップ現象」といいます。 あまり褒められた設計

ではありません。 ロールセンターに対して重心の高いクルマほどこの傾向がありますが。

絶対ロール量は、大きくまわりこんだ高速コーナーなどでの安定性を決めるものですが、街中

では高速道路などで関係してきますかね。 これはスタビライザーが役割を負担しますが、

スタビをいじるのはあくまでもスプリングのセッティングがそれなりにできている事が前提です。

スプリングの基本的セットができていないのにスタビをいじるのは順序が逆です。

それと関連するのが前後のロールバランスですが、個人的にはこれを調整することこそがスタビの

本来の目的だと認識しています。

 

スタビライザーは御存じの通り、左右のサスの動きを連動させる役割をしますので、本来の独立懸架

サスの動きを封じることにもつながるため、非常に矛盾の伴ったパーツと考えることもできます。

スタビライザーというのはいってみれば前後のロールセンターの高さの違いからくるロールバランス

の不均整を整えることから始めるものですね。 つまり、車体設計の基本に関わる部分ですから

ノーマルの状態でもかなり詰められているはずなので、よっぽど必要がない限りはあまり変更加える

必要はないと個人的には考えています。 ま、ブッシュやリンクの変更は効果的だと思いますが。

そうそう、ブッシュについてですがこれはできるだけゴム製を選んでください。よく硬質ウレタン製

ってのもありますが、ウレタンは潰れると自己の弾力でなかなか戻ってこないのであまりお薦めでき

ません。

 

これは低車高化についてのひとこととも重複してしまいますが、よく「ロールを減らすために車高を

落とす」という人がいますが、これは間違いです。

バネを硬いものに換えて、ステアリングを切った瞬間の沈み込み量が抑えられれば人間の感覚として

はロールが減ったと錯覚するでしょうが、これは上記でいうところの「ロール特性」が変わった

にすぎません。  とはいえ、国産車の多くはちょっと車高が高すぎると感じるのは事実ですけどね。

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