●金属の硬さとパワーチェックの関係についてのひとこと

一般に「この材質は硬い」「柔らかい」とかという表現をよくしますね。 私達もそういう言い方は

けっこう使います。   しかし、「硬さ」というものはじつはよくわからない金属の性質でもあり

ます。もっとも重要な要素なのに、「測る」ことはできないものなのです。

 

どういうことかと言いますと、通常我々が金属の硬さ…特に熱処理を行った後の硬さの確認の為には

ロックウェル硬さ(HR)、ビッカース硬さ(HV)、ブリネル硬さ(HB)、ショア硬さ(HS)の4種類を主に使い

ます。(特にもっとも使うのがロックウェルCスケール(HRc)というもので、この試験の概要は、先端

が120度に研がれたダイヤモンド圧子を10Kgの基本荷重→150Kgの本荷重→再び10Kgの順に押し付け、

基本荷重に戻したときの数値でメーターに表しますので、誰でも分かりやすいのが特徴です。

通常焼き入れも何もしない鋼材でHRc10程度、調質材で20〜35程度、焼き入れ材ではそれ以上ですが

刃物になるとだいたい65以上になります。  因みにこのHRcでは最大75程度まで表示できます。

ただしこれはあくまで「内部硬さ」でして、表面硬化等の硬さは表せません)

さて、ここでなんで「測る」ことができないのかと言いますと、この3種類の硬さ試験の数値は決して

比例関係にないということです。 もし測定であれば、例えば長さならばインチであろうがメートルで

あろうが尺であろうが係数をかければ簡単に換算できますし、重さも同様にポンド、キログラム換算も

特定の数値で行えます。  が、硬さはこれが利かないのです。 どういうことでしょうか?

硬さというのはその材料が磨耗や変型、歪みという外力による抵抗を受けてはじめて「発生する」

ものだからです。 言い換えれば金属組織の歪みに対する抵抗力そのものです。 これは荷重の種類に

よって大きく変わってしまう為、試験方法の異なる硬さ試験ではどうしても数値が比例しません。

そこで、こういう場合は「比較測定」という方法を使います。 つまり数値的な絶対値で求めるのでは

なく、とあるテストピースを測り、それに対しての差を確認するというものです。

因みに硬さのことを「硬度」とか硬さ試験機のことを「硬度計」という人も多いですが、上記のよう

に硬さは「試験」であって「測定」ではありません。 絶対的な数値ばかりを見ても無意味なのです。

このことは硬さ試験機にも「HARDNESS GAUGE」ではなく「HARDNESS TESTER」と書いてある

ことからもわかりますね。

 

そう、ここで同じことが言えるのが「シャーシダイナモ」によるパワーチェックです。これも「測定」

ではありません。 あくまで「試験」なのです。 つまり、シャーシダイナモというのは例えば何か

チューニングを施す前と後の違いをチェックするためのシミュレーターであると考えたほうが正解です。

つまり「◯◯◯Kw」という絶対値は参考程度にしかなりませんし、ましてや300馬力以上のパワーに

なるとスリップロスが大きくなり、とても正確な数値なんか出ません。 仮に50馬力以上の違いが

でてもなんら不思議はないです。 クルマは走ってナンボのもの。走って速くなければ意味はないです。

よく、違うシャシダイ(機械自体は同じ機種でも)で測った、異なる2台を比べて「こっちよりこっち

のクルマのほうがパワーが出ている」などと思うのはナンセンスですし、ましてやシャシダイ上での

パワーチェック競争なんてのはまったくもって意味のない話です。 データーはその数値に意味がある

のではなく、その数値を基にを今後、どう活かすかによって価値の決まるモノなのです。

数値自慢だけならコンピュータのベンチマークオタクのほうがマシなくらいですね(笑)

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