●摩擦、磨耗についてのひとこと

●エンジンをはじめ、クルマには回転、往復等摩擦する部分が多数あります。

当然、必要な部分にはオイル、グリス等によって潤滑を行うわけですが、今回はその摩擦面そのもの

について考えます。

よく「この材料は磨耗に強いですか?」という質問を受けることが多いのですが、ハッキリいって

これは愚問です。 摩擦とは必ずそれと擦れる「相手材」というものがあってはじめて成立します

ので摩擦を考える時には「この材料とこの材料で摩擦させた時に」という前提が必要なのです。

例えば摩擦面に多用される硬質クロームメッキはその硬さと表面の滑らかさによって、低い摩擦

抵抗ですが、だからといってクロームメッキを施したモノ同士の摩擦はいけません。すぐに焼きつき

ます。 そう、摩擦、磨耗を減らしたい場合は「硬さの差」が絶対に必要です。

経験的には、最低でもHRc硬さで10以上は差がないとかじり、焼き付きの原因になります。

磨耗というプロセスは「しゅう動」→「凝着」→「剥離」のくり返しですので、「凝着」しにくい

材料を組み合わせること、磨耗粉が出てもそれが再度凝着しないような相手材を選ぶことが重要に

なります。

●ここで落とし穴となるもうひとつの要素は「表面残留応力」です。 これは焼き入れ等の熱処理に

よって金属表面に生じるものですが、これは通常焼き入れしっぱなしでは「引っ張り」方向に働いて

います。 が、これがクセモノで、この引張り残留応力はすべてに於いてマイナス要因となります。

クラックや衝撃による破壊の原因になり、疲労破壊を発生させ、錆びの原因にもなり、ここで触れ

ている磨耗の原因にもなります。 ですから、焼き入れ後は必ず充分な焼き戻しを行い、引張り

残留応力をできるだけ消しておかなければなりません。 焼き戻しをすると表面の硬さはやや落ち

ますが、硬さだけにとらわれてはいけません。 硬い=磨耗に強いではないのです。

例えば、クロームメッキよりも硬いことからチタンを利用したTiNコーティング等が多用されていま

すが、確かに磨耗そのものには強いのですが、チタンという材料の宿命で「摩擦抵抗が大きい」と

いうのがあります。 ですので、機械加工の刃物には有効ですが、例えばエンジンやミッション

のような摩擦抵抗を減らしたい部分にはマイナスです。 これは私も経験しました。

●最後に表面性状、つまり表面がツルツルがざらざらかという事です。 これは潤滑状況にもよる

のですが、あまりに密着してしまうようなツルツルな面は好ましくありません。 お互いの摩擦面

が吸盤のようにくっついてしまい凝着してしまう現象が起き、これをリンギングと言います。

潤滑が充分に行われる環境の場合はツルツルながらも微細な凹凸をつくる表面、例えばホーニング

面やWPC処理面が最適かと思いますが、一概には言えません。

 

●摩擦、磨耗に関しては本当に奥が深く、とてもここに書ききれるものではなく、また私の手に

負える¥ような簡単な分野ではないので、あくまで今回は「さわり」だけで失礼します。

また追加でいろいろ書足していきたいと思います。

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