●スプリングについてのひとこと(1)

最近はスプリングの品質も向上して、市販のものでも安全性や性能に問題のあるものは少なく

なりましたね。

さて、スプリングについては「材質」「熱処理、表面処理」「成形方法」「形状」等、要素が

多いですが、ここでは車用コイルサスペンションスプリングの一般モノについてのみ書きます。

特殊なモノやその他はまた別の機会に…

●材質

通常はJIS規格のSUPという鋼種が使用されます。種類としてはSUP3〜SUP13まで

亜種も含めて9種類が規格上あります。  バネ鋼の特徴は炭素(C)が高いこと。

だいたい0.5〜1%ほど含有しています。これは内部まで均等に焼入れをさせる必要がある為で、

もし不均等だと疲労破壊の原因になります。勿論、車のサススプリングに使われるようなバネは

だいたい直径が10〜15mmあるので、通常の炭素鋼では不十分で、合金鋼が使われています。

主な追加成分としてはクロム(Cr)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、

焼入れ性を向上させるボロン(B)があります。

これらは種別的にはSUP6以上の鋼種で、一般的にはこれが使われているはずです。流通も多く

一般でも入手は簡単です。

なお、よく外国鋼種は国産品よりも高品質だといわれてますが、これは成分的な違いではありません。

鋼材製造時の粒子の細かさと均質な合金成分の分布がなされているからなんです。

例えばよく輸入材であるSAE9254やSAE9260という鋼材の成分は、日本のSUP6、

SUP7とほとんど同じなんですが、問題はその中味ってわけです。

例えば、日本のベアリング鋼は世界一の品質を誇っていますがこれは特殊な成分が入ってるわけではなく、

すべてJIS規格によって顕微鏡分析での粒子の分布、細かさが規定されてるからに他なりません。

もし他の鋼種にもこの規定が適用されれば間違いなく日本の鋼材は世界一の品質を達成できるでしょう。

●熱処理、表面処理

これはスプリングの成形法や大きさによって多少変わってきますが、代表的な方法としては通常の鋼材と

同様に焼入れ、焼き戻しをして適度な硬さ(HRc45前後)にします。

もちろんもっと硬くすることもできますが、そうするとあるポイントを境に引張応力がむしろ弱くなる

ために破損してしまいます。なぜこうなるかは「鋼材の七不思議」のひとつで、解明されていません。

これが解明されてさらに強く、硬い鋼種ができれば今までの常識を覆えす大発明になると言われています。

ただしバネにとって重要なのは硬さではなく反発力なので、必要なのはヤングスモジュラス

(応力反発係数)のほうなので、硬さ自体はそんなに重要でもありません。

しかし、焼入れし放しの鋼材は表面の引張残留応力のせいで疲労破壊に対して非常に弱いのでこのまま

では破損してしまいます。そこで行われるのが「ショットピーニング」とよばれる処理です。

これは小さい鋼球を高圧、高速で万遍なく叩き付け、表面的に「鍛造」させるものと考えてください。

そうすると表面の残留応力が引張から圧縮にかわり、これが対疲労性を大幅に向上させます。

ちなみに、引張であれ圧縮であれ表面に応力を持つ鋼材は活性化してるために、他の元素とのアクション

がしやすいのですぐ酸素等と結合し、非常に錆びやすくなってますので、しっかり防錆塗装等をしな

ければなりません。

なお、上記の方法はいわゆる「熱間成形バネ」で、すべてコイル状に成形後に行われます。

冷間成形の場合は材質もかわりSWPという鋼種を使いますが、これについてはまた別の機会に書きます。

 

●次回に続きます。

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