●走行中のエンジンルームの空気の流れについてのひとこと

●最近のクルマ、とくにターボ車はハイパワー化して発生する熱エネルギーが増大する反面、

エンジンルームはコンパクトにまとめるために隙間が少なく、冷却効率に無理があるのは否めません。

そこで、ちょっと私なりに走行中のエンジンルーム内の空気の流れを考え、効率良く外気と熱気の

入れ替えを考えてみました。

 

●さて、クルマが走行すると当然ながら「負圧が発生する部分」と「正圧が発生する部分」ができ

ます。 厳密に言うと、ボディ表面から空気が剥離しない限りは走行中のボディ表面を流れる空気は

流速を持っていますのですべて負圧と言えるのですが、それでもより効率よく空気の流れを利用する

ために、あえて負圧域と正圧域を別けて考えたいと思います。

●上図は一般的なフロントエンジン車のエンジンルームを横から断面にしたものです。

ボンネット表面

多くの方が冷却で注目する部分にボンネットに注目すると思います。 とくに一般に見受けられる

のは「ボンネット浮かし」というボンネット後端を持ち上げてそこから熱気を吸い出す効果を狙お

うとするものですが、ハッキリ言ってこれはあまり効率のいい方法ではありません。

この理由は上図を見ると解っていただけると思うのですが、ボンネット後端、すなわちフロント

ウインドウ下部は正圧域なのです。 これはむしろ内部の熱気を放出するよりも外気を導入する

のに都合がいい部分なのです。 考えてみればすぐに解りますが、メーカーから出てるクルマに

この部分にエアアウトレットを設けてるものはありませんし、むしろここは外気導入のための

開口部があります。 スバルのクルマなどは、この部分にインタークーラーのエアインテークが

あるくらいで、ここは熱気を抜くのではなく、外気を導入するのに都合のいい部分なのです。

レーシングカーにボンネット浮かしやボンネット後端にエアアウトレットが存在しないということを

考えてもらえば、簡単にわかっていただけると思います。

では熱気を抜くのはどこがいいかと言いますと見ての通りボンネット前半部です。 ラジエーター

やインタークーラーからの熱気を抜くのに最適なのはこの負圧発生域です。 これはもうラリー車

やレーシングカーでも多くのクルマがやっていますので説明の必要はないと思います。

これはフロントグリルを駆け上がってきた空気がちょうどこの部分で剥離しようとして、結果と

して大きな負圧を発生すると同時に、ボンネット表面のRによって流速が速まるためです。

 

シャーシ裏

表から見えないのでけっこう見逃しがちなのですが、フロントから入った空気を一番効率良く抜く

ことができるのは、このシャーシ裏です。

シャーシ裏はクルマが走行することによってベンチュリー効果で大きな負圧が生まれ、この力は

強力なダウンフォース効果を発生します。

当然ながらこの力はエンジンルームで発生した熱気を強力に吸い出す力を持ちます。

ですので、前述したボンネット浮かしなどの手間をかけるくらいならアンダーカバーを整流効果の

高いものにするなど積極的にシャーシ裏の空力に力を入れたほうが何倍も効果的です。

もちろん、アンダーカバーを取り外すなどはもってのほかで、これを外してしまうとフロントから

入った冷気がラジエーターやエンジンを通過する前にボディ下に空気の流れが逃げてしまうため、

冷却効率は大きく低下してしまいます。

 

●フロントスポイラーを大型化して路面との隙間を狭くする、車高をできるだけ低くしてより大きな

ベンチュリー効果を発生させる等すればさらにこの効果は高くなります。

これをエアロパーツで言うと、フロントスポイラーは前述のとおりフロントからシャーシ裏に流入

する空気を減らしてよりシャーシ裏に負圧を発生させるためにあり、また、サイドシルスポイラーは

ボディ側面から巻き込んでシャーシ裏に入ろうとする空気を防ぐためにあります。

もっとも、市販品の多くはこういった空力よりもファッション優先で作られているのが現実ですが。

 

●蛇足ですが、レイアウト上の効率からいいますと、FFのような横置きエンジンよりもFRのような

縦置きエンジンのほうが冷却は優れています。 これは横置きエンジンのほうが進行方向に対して

の面積が大きくエンジンルーム内の空気の流れを疎外することにより効率が悪いだけではなく、

もっとも高温になる排気側がエンジン前面にくるためにより冷却に悪い影響をあたえるためです。

このことから排気側と吸気側を逆にする、いわゆるリバースヘッドという方法を採用する場合も

あります。 これは吸気側を前面に持ってきてより冷気を吸入するとともに排気側を後方にもって

きて排気をできるだけ冷やさないことを狙っています。 排気ガスは冷やしてしまうと圧力と流速

が落ちてしまうのでエンジンの吸排気効率が落ちてしまいます。

 

●いろいろ書きましたが、本来はエンジンルーム内の空気の流れというのはこんなに単純なものでは

なく、実際、自動車メーカーでもエンジンルーム内での空気の流れの解析はけっこう難しいようです。

でもこれからさらにエンジンルームはコンパクトにまとめられていくでしょうから、狭い空間でいか

に効率良く冷却するかという課題は大きくなっていくのだと思います。  そういう意味ではひと昔

前のクルマはエンジンルームに余裕があって見た目にも涼しそうな気がします(笑)

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