●馬力とトルクについてのひとこと

●馬力とトルクの違い。 これは解っている人にとってはけっこう単純なことなのですが、これを

感覚的に説明、理解するのってけっこう難しいと思います。

トルクは回転力であり、馬力はそのトルクが一定時間内になし得る仕事量…といえば一番簡単なの

ですが、これが感覚的にはわかりにくいですよね。

エンジンと言うのはクランクシャフトの回転による力を取り出す装置でしかないので、発生するもの

はトルクだけです。 馬力はそのトルクがした仕事そのものということになります。

 

●私もうまく比喩できませんが、たとえば長さ100mmの釘があって、それをハンマーで打ちます。

1回ハンマーで打つと釘は10mm沈むとします。 これがトルクの大きさと思ってください。

ということは10回叩くと釘は完全に埋まります。 このとき、AとB、2人の人が同時に釘打ち競争

をしたとして、Aの人はこれを10秒で、Bの人は20秒で成し遂げたとしますと、Aの人はBの人の

2倍の「馬力」を出したことになるのです。

ここで重要なのは「1回の打込みで10mm」というトルクの大きさはどちらも同じということです。

見方を変えますとBの人は打込むスピードでAの人の倍かかるのでしたら、同じ時間で打ち込みを

終えるためには、1回の打込みでAの人の倍のトルク、すなわち20mm打てれば打つ回数は5回で

済みAの人と同じ10秒で仕事を終えることができます。 このとき、Aの人と同じ馬力が出せた

ことになるわけです。

そう、トルクは時間は関係ありませんが、馬力は時間が重要な要素になってくるのです。

 

●これをエンジンに置き換えてみましょう。

発生するトルクが同じで馬力を倍にするには… 上の喩えで言えば速くハンマーを打つ、すなわち

回転数を倍にする=爆発回数を倍にするということです。

そしてもう一つの方法が1回で打込む距離を倍にする、つまりトルク自体を倍にするということ

ですから1回の爆発力を倍にする=排気量を倍にする(あるいはターボチャージャー等を使用して

より多くの混合気を取り込む)ということです。

※実際には排気量を倍にしたからと言って倍のトルクが出るとはならないのですが、あくまで今回の表現の方法

のひとつとして捉えてください。

このことから、排気量が決まっているレーシングエンジンがなぜ高回転まで回すかということが

理解できると思います。 同じ排気量なら一定時間で爆発する回数を増やせばいいわけですから

より高回転まで回すことで高出力が得られるわけです。

たとえば、フォーミュラニッポンのレギュレーションでは排気量は3000CC、レブリミットは

9000rpmと決まっていますので、「この条件だけで」考えれば理論上は馬力はどのチームの

エンジンも馬力の上限は同じにしかならないと言うことになります。

 

●ちなみにクルマが最高出力を発揮できる唯一の場面、それはなんといってもフルスロットルで

最高速度で疾走しているときです。

この最高速で走っている時というのは、空気抵抗をはじめ全ての走行抵抗とエンジンが戦っている

状態なのです。

言い換えれば、外から見れば速度は一定でもエンジンにとっては「無限大に加速している状態」

と言うことができます。  これは、パワー=走行抵抗と置き換えることもできます。

パワーチェックというのはまさにこれです。 つまりどれだけの走行抵抗=負荷に対抗できるか

というのを見ているわけですから。

ですので、たとえばゼロヨン加速などでタイムが上がったときなどは「パワーが上がった」と言う

ことができますが、それはあくまでも「過渡域のパワーが上がった」だけであり、最高出力が

上がったわけではありません。 「まだ加速できる」状態ということはまだエンジンは走行抵抗に

勝つ余力がある、つまりまだフルパワーを出してはいません。

これ以上加速できない状態、それが最高出力ということになります。

 

●最後に、トルクと馬力の相関関係を書いておきます。

1馬力は75kg-m/sec、回転数は1min単位×トルクの大きさで表示されますので、(75×60)/2π

で計算します。 この数字は0.001396ですから、0.0014と仮定します。

馬力=トルク×0.0014×エンジン回転数

トルク=馬力÷(0.0014×エンジン回転数)

となります。

 

蛇足ですが、この方法で計算した場合いわゆるダイノパック等でのトルクとパワーが同時にチェック

できるパワーテスターだと相関関係につじつまが合わないことがあります。

理論的には誤差の範囲は別として計算は必ず合わなければなりませんから、「ダイノパックは正確」

というのが必ずしも通用しないことが解っていただけると思います。

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