●ネジのピッチの違いについてのひとこと

●ネジの規格表を見るとよくわかると思いますが、同じ径のネジでもピッチが異なる数種類があるの

がわかると思います。

通常使用されるものは「並目(なみめ)」といって、例えばM3なら0.5、M4なら0.7、M5なら0.8、

M6で1.0、M8で1.25、M10で1.5、M12で1.75となります。

これに対してもっとピッチの細かいものを「細目(さいめ)」と呼び、これには数種類あります。

自動車用ネジの場合、たいていM8までは通常の並目ピッチが使用されることが多いのですが、それ

以上のサイズだと比較的細目ピッチのネジが多用されています。

これにはもちろんいくつか理由がありますが、ここで並目ピッチのネジに対して細目ピッチのネジの

特徴は以下の通りです。

1)弛みにくい

違うピッチのネジ同士を比べてもらえばわかりますが、ピッチの細かいネジのほうがネジ山の螺旋の

傾斜角度がより平らに近くなります。

喩えば、坂の角度が急なほど物体は勢いよく転がることからもわかるように、ネジ山の螺旋傾斜も

緩いほど、回転しにくくなり、結果としてネジが弛みにくいことになります。

また、これはピッチだけでなくネジの精度ランクによっても変わりますので一概には言えませんが、

一般には細目のほうがよりナットとボルトのネジ山の接触面積が大きくなるので、これも弛みにくい

ポイントになります。

2)破断に対して強い

これはピッチが細かいほどネジ山の深さ(高さ)が浅くなるため、結果としてボルトの心材として

残る部分の面積が大きくなるために、とくに引っぱり強さなど、破断、折損に対して強くなります。

ネジの谷径は大雑把に言うと呼び径−ピッチですので、それを元に計算しますと、たとえば、M12×

1.75の断面積は約82.5mm^2ですが、M12×1.25では約90.8mm^2になり、同じ材質で仮定すると

約10%もピッチ1.25のほうが破断に対しては強いことになります。

もちろん、ネジ山のほうは細目ピッチのほうが弱くなるわけですが、この分はネジの噛み合い長さ、

即ちより長いナットを使用すればいいだけですので、極端な細目(2ランク以上も下の細目や、計測機器

で使用するような精密ネジなど)でない限りは問題ないと言っていいでしょう。

 

これに対して、細目であることによるデメリットは何が考えられるかというと、まずは同じ距離

を締めるのにより多く回転させないといけないため、ネジを締めるのに時間がかかること、また、

精度的にピッチが細かいほどクリアランスが狭くなってくるため、並目ピッチでは気にならない

くらいのゴミがネジ山についただけでもネジが締まらなかったり、ネジ山がカジリやすかったり

する点です。

ですが、ネジを締める時にネジ山をクリーンにするのは「常識」ですので、これは問題外でしょう。

砂のついたままのナットやボルトをジャリジャリいっているのにそのままネジを締めるような人は

クルマ以前に、機械をいじる資格はありません。

 

●具体例として、クルマのホイール取り付け用のハブボルトを取り上げます。

国産車のハブボルトはだいたいM12ですが、メーカーによってピッチは1.5mmと1.25mmの2種類

がありますが、どちらが優れているかは優劣はつけ難いところではあります。

ただ、個人的には前述の破断強さからいって1.25のほうが良いのではないかと考えています。

つまり理屈では材質が同じであれば1.5よりも1.25のほうが折れにくく、弛みにくいということです。

 

●ちなみに、ハブボルトの話になったのでついでに書きますが、ハブボルトにナットを締める時に

ボルトのネジ部に薄くオイル(エンジンオイルでもいいですが、できればスレッドコンパウンドの

ようなものが良いでしょう)を塗布してから締めることをお薦めします。

こうしないとトルクレンチで規定トルクで締めても充分な軸力で締めることができず、結果として

ナットが弛みやすかったりハイパワー車ではホイールとハブ面でスリップが起こり、最悪はハブボルト

を折ってしまう可能性があります。

ネジの締めつけトルクの条件は、すべて油を薄く塗った状態での数値となっています。

ただ、こういうネジ部に油をつけることはかえって弛みやすいと感じて躊躇してしまうと思いますが

ホイールナットの場合はそのために締め付け面がテーパーになっているのです。

ですので、ネジ部には油はつけても、このテーパー部には油をつけないことが重要です。

 

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