●ブローバイガスについてのひとこと

●ブローバイガスというのは、4サイクルレシプロエンジンの燃焼工程において、ピストンと

シリンダーの隙間から吹き抜けた未燃焼あるいは、燃焼ガスのことを指します。

当然ながらこのガスは有害成分を含みますので、通常はシリンダーヘッドなどからホースに

よって取り出し、エアクリーナー近辺まで戻すことで再度エンジンに吸引させることで、大気中

に直接放出されないようになっています。

このあたりまではごく基本的なことなのですが、チューニングエンジンではこのブローバイガス

の処理がけっこう重要になってくることがあります。

 

まず、重要なのはこのブローバイガスはクランクケース内(つまりエンジン内部)の圧力に大きな

影響を与えるということです。

当然ながら吹き抜けたガスには圧力がありますので、ブローバイガスを抜かないとクランクケース

内部の圧力は上昇してしまいます。

とくに最近のコンパクトなエンジンではクランクケース内部の容積自体が小さくなっている関係で

より影響を受けるようになっています。

また同じ排気量、たとえば2000ccでたとえると、直列6気筒よりもV型6気筒、直列4気筒の

エンジンのほうがクランクケース容積が小さいため、よりこのブローバイの圧力の影響を受けます。

この圧力は無視できないほどのもので、ピストンの上下運動の抵抗となるため、とくに高回転に

なると数馬力の差となって表れますし、場合によってはエンジンブローの原因にもなりかねません。

また、とくにターボエンジンの場合はクランクケース圧力が高くなり過ぎると、ターボからの

オイルリターンが戻りにくくなることでターボチャージャーの潤滑不良をおこし、タービンの

焼き付きの原因にもなりますし、そうでなくてもその圧力でターボシャフトからオイル漏れを

起こしてマフラーから白煙を吹くなどの原因にもなります。 また、バルブ周りからのオイル

下がりの原因にもなります。

 

逆に、ブローバイガスを抜き過ぎてクランクケース内圧力が低くなりすぎた場合は、オイルに

キャビテーションが発生しやすくなって、極端な話ではオイルポンプがエアを吸うことによって

油圧の低下を招くことも考えられます。 まぁ、これは滅多にないことですが。

 

●そこで、重要になるのはブローバイの抜き方ですが、最近のノーマルエンジンでは通常は

ブローバイは2系統あることが多いです。

1系統は主にアイドリングのときなど、スロットルバルブが閉じておりインテーク内部の

流速が低い場合などのためにサージタンクに直接繋がっている系統があります。

これはどちらかというとサブ系統で、中間にチェックバルブが入っており、スロットルを

開けてサージタンク内部の負圧が弱くなると閉じるようになっているのが普通です。

もう 1系統はメインの系統で、従来通りヘッドカバーなどからエアクリーナー付近まで戻って

いるパイプで、これにはチェックバルブは入っておりません。

スロットルを開けて、インテーク内部の流速が上がって負圧が大きくなることでクランク

ケースからブローバイを吸い出すことによります。

 

じつはこの「負圧により吸い出す」ことが重要で、よくブローバイガスの大気解放をおこなう

場合がありますが、この場合は吸入負圧によって積極的にクランクケース内部の圧力を下げる

ことができなくなります。

たしかに、大気解放にすることでブローバイガスを吸い込まなくできるのでエンジンの燃焼

には良さそうですが、これとクランクケース内圧力をどっちをとるかと考えたとき、けっこう

難しいと言えますが、私はクランクケース内の圧力を下げることのほうがエンジンのためには

良いと考えておりますので、ブローバイの大気開放には疑問です。

また、後述しますが、ブローバイガスの処理はオイルの寿命にも大きく影響を与えます。

ちなみに、ブローバイを吸気系統に返さず、排気系統に繋ぐことで、吸気とは比べ物にならない

排気流速で吸い出すことでより効果を狙うこともあるようです。

ただ、実用になるのかどうかは私にはわかりませんが、テストはされているようです。

 

●オイルキャッチタンク

ブローバイガスには当然のことながらエンジンオイル等のミストが含まれます。

よくターボエンジンのインテーク内部やインタークーラー内部を見るとオイルがべったりついて

いることがありますが、これらがブローバイガスに含まれるオイルミストです。

これを少しでも低減させるためには、ブローバイ(メイン系統のほうです)のパイプの中間に

キャッチタンクをつけて、気体成分と液体成分を分離してやることが有効となります。

もちろん、キャッチタンクをつけてもその先はきちんとエンジンに戻してやることが基本です。

なお、このオイルキャッチタンクは本来はレースにおいてエンジンブローや転倒したときなどに

コースにオイルをまき散らさないようにするためのものでして、レースではエンジンの大きさに

よって容量が決まっております。

 

ちなみに、ブローバイガスはピストンとシリンダーの隙間から抜けるガスですので、当然ながら

新しいエンジンよりも磨耗の進んだエンジンや、ピストンリングの張力の弱ったエンジンほど

多く出ることになります。

言い換えると、同じエンジンであればブローバイガスの発生の少ないエンジンほど良好な

コンディションであると言えます。

あまりブローバイが多くなったり、オイル消費が多くなったりした場合は圧縮圧力を測ってみる

など、エンジンのチェックが必要になります。

また、同じエンジンでも適正な温度よりも低い場合はピストンとシリンダーのクリアランスが

大きめになりがちですので、こうした場合もブローバイガスの発生が多くなります。

とくに鍛造ピストンは熱膨脹が大きいため、冷えているときにはシリンダーとのクリアランスが

大きめになる傾向になります。

たとえば、チューニングエンジンなどで冷却性能を追求するあまりに普段の走行時の温度まで

低くしすぎると、こうしたクリアランスが大きめになることで、吹き抜けるブローバイガスの

量が増え、それがオイルを汚したり希釈することでオイルの寿命を短くさせてしまいます。

 

ですので、このエンジンの磨耗状態によってもオイル交換サイクルを変えることも重要です。

つまり、ブローバイの多いエンジンはそれだけオイルを汚し、劣化させますので磨耗の少ない

新しいエンジンよりも短いサイクルでオイル交換をしてあげる必要があるということです。

実のところ、オイルを劣化させる最大の要因はこのブローバイガスによる汚染であり、むしろ

各部の磨耗などによる金属粉などは微々たるものなのです。

ですので、最近の一部の車などは、オイルパンにオイル劣化センサーをつけて、オイルの

酸化度合いによって交換サイクルを知らせるようになっているものもあります。

最新のエンジンがオイル交換15000kmとか20000kmとかなっているのは、主にエンジン

設計の段階でこのブローバイガスの発生を最小限にして、また、その回収も効率的におこ

なわれるようになったためです。 もちろん、オイル自体の性能向上もあります。

ですので、ブローバイガスは大気解放などはせずに、むしろ積極的に負圧で吸わせて、クランク

ケース内部のベンチレーション(換気)をすることがオイルのため、エンジンのためにも重要

なのです。 ブローバイ大気解放が良いなどというのは過去の話と言って過言ではありません。

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