●大容量オイルポンプについてのひとこと

●よくチューニングエンジンでは「油圧のアップ」と「油量のアップ」が必要になる場合が

あります。

この中で、油圧のアップについてはプレッシャーレギュレーターのスプリングセット圧を上げれば

済むことですが、油量アップについては、ポンプそのものの大容量化が必要になります。

しかし、ここで勘違いされている方が多いのですが、ポンプを大容量化しただけでは単に規定

油圧に達する回転数が低くなるだけで、高回転時にエンジンに送られるオイル量が増えるわけ

ではないので、意味のないことがほとんどです。

多くの方はただイメージ的に「容量が大きければ安心感がある」という感覚的なものでつけて

いることが多いです。 こうしたものはいたずらに大きくすれば良いという訳ではありません。

 

オイルポンプの容量アップが必要になるのは、たとえばオイルラインを拡大した、イレギュラー

なサイズの大きなオイルクーラーを使用した、オイルジェットの追加などの加工をした…などの

場合で、まずエンジンそのものがより油量を要求する状態になった場合のみです。

当然、本来はその改造内容によっても必要吐出量が変わってきます。

 

まず、当然ながら「圧」と「量」は違いますので、これはノーマルオイルポンプのレギュレーター

シム増しなどによる油圧アップとは目的が根本的に異なりますが、実際のところ純正のオイル

ポンプの容量にはけっこう余裕があるものです。

 

↑参考までに、スズキF6Aエンジンの大容量オイルポンプ。 吐出量純正比133%。

 

オイルポンプの吐出量はエンジン回転数に比例して上昇しますが、エンジン本体が要求する

オイル供給量はエンジン回転数とは無関係であるということです。 問題なのは油圧の

ピークに達する回転数、すなわちインターセプトポイントでして、たとえば、ノーマル状態の

レギュレーターリリーフポイント(設定油圧に達する回転数)が3000rpmだと仮定した場合、

上記改造、加工などでオイル必要量が増大した場合、リリーフポイントが4000rpmまで

上がってしまったとします。

こういった状態になってはじめて大容量オイルポンプを装着することで、それをまた約3000

rpm付近まで戻してやることが可能で、その場合にまさに最適な油量アップとなるわけです。

エンジン各部、カムやタペットなどの磨耗がもっとも進行するのは実はアイドリングから

低回転域にかけてがメインなので、この回転域でのオイル吐出量が減るのはエンジンの寿命に

大きな影響を与えることになります。

ですので、この回転域でのオイル吐出量を純正と同等に確保してやることが大容量ポンプの

主な目的と言っても過言ではありません。

そしてこの設定油圧に達したあとは、オイルポンプから送られる過剰なオイルはひたすら

オイルパンにリリーフされるだけとなるわけです。

つまり、吐出圧が一定に達したあとは、エンジン本体のオイル流路体積を大きくしない限り

それ以上はオイル供給量は増加しません。

ここまで書くとわかると思いますが、油圧レギュレーターがリリーフし、油圧が設定上限に

達したあとはノーマルポンプであろうが、大容量ポンプであろうがエンジンに送られる油量は

同じなわけです。

つまり、大容量ポンプにしたからといって高回転時の余裕が生まれるなどということはない

のです。 簡単な理屈なのですが、このへんをきちんと理解している方は意外に少ないです。

むしろエンジンが要求する必要量よりも過度に大容量なポンプギアになると、リリーフ後は

ポンプ内部の圧力抵抗が上がりすぎてしまう不都合が発生しやすくなります。

つまり、いたずらに大容量にしたほうが良いものではないことを理解してください。

 

過度の容量アップをすると今度は圧送したオイルのリターンが追いつかなくなる、ポンプ内部

での抵抗が上がりすぎてしまいその抵抗によって、ポンプハウジングやポンプギアの異常磨耗

や、最悪はポンプギアそのものの破損に繋がる恐れがあるなど、リスクばかりが増えてしまう

ことから思わぬトラブルの元になりかねません。

 

また、大容量のポンプギアにすると当然ながらオイルストレーナーからオイルポンプまでの

サクションパイプの吸引負圧も高くなります。

ですので、過度に大容量のポンプギアにしてしまうとこのパイプ内およびポンプ内の圧力が

下がりすぎてキャビテーションが発生、エアが混入することで計算より油量が増えないという

こともありますので、サクションパイプの大径化も必要になります。

これらが、いたずらに大きければ良い(強化すれば良い)というわけではない理由でも

あります。

 

大容量ポンプはこのへんのことをよく計算して製作する必要があるわけですが、どの程度

のオイルポンプが適切かどうかの判断基準が、前述したレギュレーターリリーフポイント

の回転数になるわけです。

つまり、たとえば純正で油圧5kg/cm^2に達するのが3000rpmであった場合、オイルライン

の拡大、オイルジェットの追加などによって油圧5kg/cm^2に達する回転数が4000rpmに

なってしまった場合、それをまた3000rpmに戻してやれば良いわけです。

もし、ただ無駄に容量の大きいポンプをつけて、この油圧5kg/cm^2に達する回転数を

1000rpmにしたからといって何もメリットはありません。 むしろ、高回転になったとき

に前述したようなポンプ自体のトラブルに繋がるリスクが増えるだけです。

 

とにかく理解していただきたいのは、オイルラインの拡大などをしない限り、どんなに大きな

オイルポンプをつけても油圧が設定圧力に達したあとはオイルの循環量は増えないのだという

ことです。

「大きいことは良いことだ」的な考えが無意味であることは、理屈を考えればすぐに解る

はずです。

 

●これ以外にも、よく「強化○○」などというチューニングパーツはその名前から受ける

イメージから「つけておいたほうが良い」と思っている方も多く、また、雑誌やショップ

なども必要もないのにこうしたパーツの宣伝をすることがありますが、チューニングという

のは「現在の仕様に本当に必要なパーツをつける」というのが基本ですので、あまり雑誌や

店の宣伝に踊らされないように吟味することが必要です。

どんなパーツでもメリットとデメリットは共存します。 人間の造るものにメリットだけが

あるものなど存在しませんので、重要なのはこうした影に隠れたデメリットにあるわけです。

戻る

広告 [PR] カード  資格 転職 スキルアップ 無料レンタルサーバー