●アイドリングストップについてのひとこと

●最近は環境問題などからアイドリングストップを励行することが推奨されて

います。 また、市販車でもアイドリングストップ機構つきの車も次第に出て

くるようになっております。 (しかし多くは10・15モード燃費の数字を良く

見せるためだけの見せかけのように私は考えていますが)

 

●無駄な燃料消費を抑え、排ガスのみならず騒音なども考えるとたしかに一定時間

以上のアイドリングは無駄にしかなりません。

しかし、エンジンを単純に回転運動する機械として考えた場合、頻繁に回転を

止めたり始動させたりというのは決して良いことではありません。

ご存知のようにエンジンの回転運動、往復運動部分はオイルによる潤滑皮膜によって

いわゆる流体潤滑状態になることで保護されておりますので、常に動き続けること

で油膜を形成し、潤滑層を維持することで磨耗を防いでいますので、頻繁に回転を

止めては起動をくり返す(スティックスリップ)、いわゆる間欠運転をすることは

その度に流体潤滑皮膜が壊れて金属同士が直に接触、磨耗する境界潤滑状態になるため

極端に磨耗を促進させてしまいますので、エンジンの寿命を縮めることに繋がります。

また、オイルポンプもその都度に停止するため、再始動の度にオイルラインにエアを

噛み込んだりしますので、始動してしばらくは潤滑状態が不安定となり、これも磨耗

や接触面の傷の発生を促進させることにも繋がります。

よくエンジンの磨耗の90%はコールドスタート時だと言われていますが、短時間の

アイドリングストップはそこまでいかなくてもそれに近い状態が頻繁に起こっている

と思っていただいても構いません。

とくにターボエンジンの場合はブーストをかけて走ってからすぐにエンジンを停める

ことは高温になったターボのセンターハウジング内のオイルや冷却水の流れが止まって

しまうため冷却水が部分的に沸騰したり、オイルが焼け、炭化しスラッジとなって

オイルラインを詰まらせてしまったり、また、温度変化が急激になることからエキマニ

のクラック発生などのトラブルの元になります。 ターボエンジンの場合はとくに

頻繁なアイドリングストップはお薦めできません。

これは何もエンジンに限ったことではなく、基本的に連続回転運動をする機械は

頻繁な回転、停止をさせることは無駄に磨耗を促進し、結果として寿命を縮めること

が多いものです。 コンピュータのHDDなどもそのひとつです。

温度や潤滑状態が適正に管理されていることが前提ならば、ずっと動きっぱなしの

ほうが結果として長持ちすることが多いのです。

 

また、エンジンは仮に冷えていなくても停止状態から始動するときにこそ大きな力を

必要とするため(動摩擦と静摩擦を考えていただければわかると思います)、一瞬とは

言え濃い混合気(空燃比)を必要とします。 また、このエンジン停止時には短時間の

うちに触媒の温度も下がってしまうため、これもごく短時間とは言え排ガスの浄化効率

が低下します。

もちろん、最近は触媒をより排気ポートに近い位置に配置したり、ヒーターつきの触媒

を使ったりと工夫はされていますが、これでも始動から僅かの間はどしても効率が立ち

あがるまでに時間が必要です。

これらのことを考えると決して頻繁なエンジンの始動、停止はそのままイコール環境に

良いとは言えないと考えています。

よく「1分も停止させればこうしたネガティブファクターは充分に回収できる」という旨の

文面を見ますが、私はそれはあくまでも宣伝で、ことはそう単純とは考えておりません。

確かに環境に配慮すれば無駄なアイドリングは可能な限りやめるべきですが、それにも

限度があり「過ぎたるは及ばざるが如し」だと思いますので。

たとえば、高速のSAに駐車するときやコンビニに立ち寄るときなど、数分間の駐車をする

ときにはエンジンは切るべき(大気汚染や燃費だけではなく、騒音や防犯の問題も含めて)

だと思いますが、信号待ちでいちいちこまめにエンジンを切るのが正しいとは思えません。

もし、不意の事故を避けるときなどのために急に動かなければならないときなどエンジン

をかけていれば避けられる危険もあるでしょうし、よくメーカーの人が言うように停車中

に追突されたときなどにエアバッグをはじめ一部の安全装備が作動しないなど、エンジン

を切っておくことでかえって危険な事態も考えられるからです。

また、とくにフットブレーキのみで停止している場合は、ブレーキを踏み直したときなど

にバキュームサーボが効かなくなるのでブレーキの効きが弱まってしまいます。

車の装備の中にはエンジンが回転していることで機能しているものも多いということを

考えておかなければなりません。

これらを踏まえて、少なくとも「すぐに動かなければ(動けなければ)ならない状況」に

於いてはエンジンを切ることは必要ないと私は考えております。

 

もちろん、純正の状態でアイドリングストップ機能がついているものはこれらの問題は

メーカーのほうで充分に対策およびテストをしているので大丈夫だとは思います。

ただ、それでも純粋に機械的な面から考えるとあまり頻繁なアイドリングストップは気持ち

のよいものではないと感じています。

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