●ハイブリッド車やアイドリングストップ車のエンジンオイルについてのひとこと

●以前の記事で私は頻繁なアイドリングストップはエンジンの寿命を縮めるのでよくないと

書きました。 →アイドリングストップについてのひとこと

今回はこれと関係することですが、同じようにアイドリングストップだけでなく頻繁にエンジン

の始動、停止をくりかえすハイブリッド車や、標準でアイドリングストップ機能を備えている

エンジンに使用すべき「エンジンオイル」について書きたいと思います。

 

上記リンクでも書きましたように頻繁なエンジンの始動、停止時にはオイルによる潤滑油膜が

切れて一時的に金属同士が直接接触する「境界潤滑」状態となり、このことがより摺動部の摩耗

を促進させ、エンジンの寿命を縮めてしまいます。

じつはその対策のためにハイブリッド車やアイドリングストップ車にはメーカー推奨で専用の

エンジンオイルが指定されています。 最近の省燃費エンジンで多い0W-20などの低粘度

オイルがそれにあたりますが、これらのオイルにはたいてい「有機モリブデン」という添加剤

が配合されています。 これはメーカー純正オイルでも同様です。

モリブデンと聞くとエンジンオイル添加剤では昔から有名ですが、社外の添加剤のほとんどは

「二硫化モリブデン」であってここでいう有機モリブデンではありません。 ここに違いが

あるのです。  そのもっとも大きな違いは、二硫化モリブデンは「固体潤滑剤」であって

オイルの中では細かい粒子として存在しているわけですが、これはエンジンオイルにとって

は「異物」でしかないのです。 ですのでオイルフィルターで濾されてしまったり、沈殿物

として下の方に溜まってしまったりして実際は有効に働く量はごく少ないことも多いのです。

なので、二硫化モリブデン配合オイルや添加剤はそういった分量を見越して必要以上に多量

のモリブデンを添加しているわけですが、ハッキリ言って無駄です。

エンジンオイルの主役はあくまでもベースオイルであって、このような添加成分はいわば

脇役ですので、多すぎる添加剤はかえってエンジンオイルの性能を悪化させます。

人間で言えば、主食を少なくしてサプリメントや栄養剤を多量に摂っているようなものです。

これに対して有機モリブデンは「液体潤滑剤」であって、エンジンオイルの中で液体として

溶け込んで存在していますので、沈澱することもなく異物としても扱われません。

そして、通常の良好な流体潤滑状態が維持されているときには有機モリブデンは何の効果も

発生しません。 この有機モリブデンがその効果を発生するとき、それこそが冒頭で述べた

エンジンの始動、停止時に一瞬油膜が切れて境界潤滑状態になったときです。 こういった

金属と金属が直接接触して摩擦するとき、この間に入り込んでいた液体の有機モリブデンが

極圧と温度によって固体化し、そこではじめて二硫化モリブデン皮膜へと変化して金属同士

の直接摩耗を防ぎ、減摩作用を発生してエンジンを摩耗、摩擦によるダメージからから守って

くれるのです。 こういった作用があるので0W-20という低粘度で、しかも頻繁なエンジン

の始動、停止をくり返してもエンジンを守ってくれる性能を持っているわけです。

 

ここまで書くとだいたい推測がつくと思いますが、ハイブリッドエンジン車や、アイドリング

ストップ機能つきエンジンの車には「必ず推奨エンジンオイルを使用する」必要があります。

ただ、有機モリブデンは比較的高価な成分ですので、この種のオイルは価格が若干高めのもの

も多いのですが、だからといってとくにハイブリッド車用でもない安いオイルにしてしまうと、

前述しましたような有機モリブデンが配合されてないために、エンジンの摩耗を促進させて

しまうことになり、結果としてエンジンの寿命を大幅に縮めてしまう可能性があるのです。

ですので、ハイブリッド車やアイドリングストップ機構がついているエンジンには必ず有機

モリブデンが入っている専用のオイルを使用するようにしましょう。 それが結果として

エンジンをいたわることになり、車を永く使う秘訣ともなるのです。

社外品の高級オイルを使用するときもこの有機モリブデンが配合されているものを選ぶ必要が

あります。 アイドリングストップ車やハイブリッド車は高回転高出力なスポーツエンジンや

チューニングエンジンとはまた違った意味でオイルにはシビアなのです。

しかも、この有機モリブデンはハイブリッド車などの環境対策エンジンだけでなく、ハイパワー

なエンジンやチューニングエンジン、レーシングエンジンでも有効で、この場合はエンジンが

極限状態で使われたとき、万が一局部的に油膜が切れたりした際に瞬間的に二硫化モリブデン皮膜

に変化してそこを保護してくれるため焼き付きなどのトラブルからエンジンを守ってくれるのです。

このように有機モリブデンはエンジンに「万が一」の状態(これらの状態をマルファンクション

=異常事態と言います)が起こったときに摩擦部を守ってくれる有能な添加成分といえます。

ただ、勘違いをしないでいただきたいのはこれらモリブデンはそれを入れたからと言ってエンジン

の回転がスムーズになるとか、摩擦抵抗が減って燃費が良くなるとかパワーアップするとかいう

直接的な体感的変化や効果はありません。 あくまでもエンジン摩耗の抑制として、あるいは

焼き付き防止としての効果ですので、そのへんはよく理解して使用する必要があります。

 

そして、最後に古い車で「アイドリングストップ機構のついていないエンジンをアイドリング

ストップして使う場合」についてですが、この場合もやはりエンジンの頻繁な停止、始動を

くり返すことによってメタルやシリンダーの摩耗が促進されてしまいますので、それを防ぐ

意味でも指定エンジンオイルにプラスして、市販のモリブデン添加剤を入れて使用することが

有効です。 ただ、上記でも書きましたように本来は二硫化モリブデンではなく有機モリブデン

の添加剤のほうが理想なのですが、私が知る限り市販のエンジンオイル添加剤の多くは二硫化

モリブデンのようです。 それであっても入れないよりはマシかと思いますので、こうした

添加剤も「最低限量を」うまく活用することも良いのではないかと思います。 もちろん有機

モリブデン系の添加剤があればそれのほうが良いです。

ただ、そのエンジンオイルにすでに有機モリブデンが配合されている場合は必要ありません。

オイル添加剤はどんなものでもそうですが、必要量以上に入れると無駄なばかりかかえって

スラッジやデポジットの元となるためエンジンに有害となります。これについては有機モリブデン

も同様で、だからこそメーカー純正オイルにも必要最低限の含有量を入れているのです。

 

なおここではモリブデン系の添加剤について書きましたが、よく売られているPTFE(テフロン)

系の添加剤については私は有効な効果があるとは考えていません。 それに比べて有機モリブデン

は自動車メーカーも純正オイルに採用し、古くからレースエンジンでも用いられているため実績

のある添加物だと言えます。 ただ、くり返しになりますが入れすぎは禁物です。

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