●エンジンの「最高回転数」についてのひとこと
●みなさんはエンジンの「最高回転数」という言葉を聞くとどう捉えるでしょうか?
おそらく多くの人が「レブリミット」か「レッドゾーン」の回転数と考えるのではないでしょうか。
例としてチューニングエンジンについて以下のような会話があったとします。
A氏「OHVのエンジンで最高回転数10000rpmは難しいだろうね」
B氏「そんなことはないよ、昔の日産A型エンジンなんかOHVで10000回ってたからね」
…こんな感じですが、たぶんこの会話をおかしいと感じる人は少ないと思います。
しかしこのA氏とB氏の頭の中にある「最高回転数」の意味はまるで違うところにあるのです。
じつは専門的に言うと「エンジン最高回転数」というのは「最高出力回転数」のことを指すの
です。 つまり、レブリミッターの効く回転数とか、タコメーターでレッドゾーンの刻まれて
いる回転数のことではないのです。 それらは「最高許容回転数」とか「限界回転数」とか
呼ばれるものであり、最高回転数ではありません。
つまり、本当の意味でのエンジンの最高回転数とはよく車のカタログの諸元表に記載されている
「280PS/6400rpm」と書かれているその「6400rpm」こそがそのエンジンの「最高回転数」
ということなのです。
このことを上記の会話に当てはめて書き直してみると、A氏は「OHVのエンジンで10000rpm
で最高出力を出すのは難しいだろうね」ということを言っているわけです。 それに対してB氏
は「単に10000rpmまで引っぱって回せる」だけという意味で捉えていたというわけです。
エンジンチューニングは単に「回ればいい」というわけではありません。 いかに高い回転数で
「馬力を出すか」が重要なのです。 惰性や勢いで回っても無意味なのです。
ちなみによくROMチューンで「このエンジンはレッドゾーンは7500rpmなのに6400rpmまで
しかマップが書かれていない」ということがありますが、これは当たり前で、上記で書いた
「280PS/6400rpm」のエンジン言えばピークが6400rpmなのですから、そこから上のマップ
を書いたところで意味がないからです。 このエンジンをチューニングし、たとえば最高回転数
を7500rpmにしたときにはじめてそこまでのマップを拡張することに意味があるわけです。
↑ホンダS2000のエンジンでの例。 「最高回転数」は9000rpmではなく8300rpmです。
●レーシングエンジンの設計者やチューナーはひとえにこの「最高回転数」をどこまで高める
ことができるかにその技術の多くを傾注していると言ってもいいと思います。 同じトルクなら
より高い回転数で出したほうが最高出力、つまりMAXパワーが上がるわけですから。
仮にレッドゾーンが9000rpmのエンジンであっても最高回転数が7000rpmであれば、そこから
上の2000rpmは何も意味を持ちません。 ただのオーバーレブ時の安全マージンでしかないの
です。 なので、理想を言えば最高回転数が7000rpmのエンジンであれば、7000rpmを超え
たらレッドゾーンまで回さずにすぐにシフトアップしていったほうが加速力は高いのです。
7000rpmが最高出力点なのですから、そこを超えたら加速力は鈍ってしまうわけですので。
しかし、現実の市販車ではほとんどの車は各ギアで最高回転数を超えてレッドゾーン付近まで
めいっぱい引っ張ってからシフトアップしたほうが速いことが多いと思います。 これは何故か
というと「ギアレシオが離れているから」です。
ギアレシオが接近しているいわゆる「クロスミッション」であれば前述したように最高回転数に
達したら次々にシフトアップしていってもドロップする回転数が低いのでパワーバンドを維持
できますが、市販車のようにギアレシオが離れていると、最高回転数でシフトアップしていくと
とくに高いギアになればなるほど回転数がドロップしすぎてしまい、いわゆる「パワーバンド」
を外してしまい加速力がダウンしてしまいます。 なので無駄だとはわかっていてもレッドゾーン
ギリギリまで引っ張ってやって、なんとかシフトアップ後のパワーバンドを維持してやるわけです。
そういう意味でもミッションの「多段化」は有効であり、その究極がCVTとも言えるわけです。
ただ、現在の市販車のミッションの多段化やCVT化の目的はこうした「速さのため」ではなく、
もっぱら省燃費および巡航時のエンジン回転数低下のためではあるのですが。
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