●ターボなどのブースト圧表記についてのひとこと

●最近はSI表記での表示が進み、メーター(計器)の表示もPa(パスカル)やkPaなどが

多くなってきましたが、私は直感的に感じ取れる以前からのkg/cm^2が好きなのでいまでも

この単位を日常でも文書でも用いています。

これは何も空圧、油圧などだけではなく、金属材料の引っ張り強度の表記でも同じで、最近

はMPaなどで表示されることが多いですが、私は今でもkg/mm^2を用いています。

たとえば鋼材の引っ張り強さで「500MPa」というのはほぼ「50kg/mm^2」にあたります。

これはもう私のポリシーのようなものでおそらく一生変えることはないでしょう。 たとえ

外部から強制されても私はこの姿勢を貫くつもりです。 たまにアメリカで描かれた図面を

見ることがありますが、彼らだって相変わらず今でもインチで寸法を表記していますからね、

いくらグローバル化とはいってもなんでもかんでも右にならえする必要はないと思います。

だって、わかりやすいじゃないですか。 たとえば「2kg/cm^2」と書かれていれば、直感的に

「ああ、1平方cmの面積に2kgの力が加わっているんだな」と容易に想像がつく。それに対して

SI単位というのはそれだけでは感覚的に掴みにくい。 学者さんからすれば問題なくても、現場

の人間からすればいちいち換算しないとわかりにくいというのは非常に厄介な問題です。

 

なお、kgというのは重量を表わしますので、力学で言う圧力や応力については正しくはkgf

(キログラムフォース)と表記する(たとえば2kgf/cm^2のように)のが本来なのですが、

一般にfは省かれることも多いのでこのへんについては曖昧にしておきます。

 

さて、ターボエンジン(機械式スーパーチャージャーも含む)のブースト圧(過給圧)でも

いくつかの表記方法がありますが、今回はこれについて書きたいと思います。

というのも、一般的に我々日本人はブースト圧をたとえば「0.8kg/cm^2」というように表記

することが多いですが、一部の自動車雑誌、とくに欧州車の雑誌などではよく「1.7kg/cm^2」

と書かれていたり、ヨーロッパ車のカタログなどでも1.8kg/cm^2などかなり高い圧力で書か

れていて驚くことがあります。

しかし、これは決してヨーロッパ車のブースト圧が国産車よりも高いというわけではなく、圧力

の表示基準が異なるだけなのです。

 

●ゲージ圧と絶対圧

このような圧力(気圧)の表記の仕方には「ゲージ圧」と「絶対圧」という2つの表示方法があり

ます。 ※このゲージ圧のことを「相対圧とも言います」

まず「ゲージ圧」というのは一般的に日本車のブースト圧で表示されるもので、「大気圧を0点と

してそこから正圧、負圧の相対圧」を表示するというものです。 たとえばブースト0.7kg/cm^2

というのは1気圧に対してさらに0.7kg/cm^2の圧力が加圧された状態ということです。

逆にマイナス値については-760mmHgを絶対真空として表記します。

↑一般的な「ゲージ圧」表記式のブースト計(正確には負圧も表示するので連成計と言います)。

大気圧である1気圧(水銀柱圧で760mmHg)をゼロポイント基準とし、そこから正圧をkg/cm^2、

負圧(バキューム圧)を-mmHgで表記するのが一般的でした。 -760mmHgが絶対真空となります。

 

これに対して「絶対圧」というのは文字どおり「0気圧をゼロとした圧力」であり、ヨーロッパ車の

多くはこの絶対圧でブースト圧を表示しているのです。 つまり、大気圧である1+ゲージ圧である

0.7を加算して合計「1.7kg/cm^2」と表記しているだけなのです。

つまり「ヨーロッパ車の1.7kg/cm^2と日本車の0.7kg/cm^2とはイコールである」ということです。

たまにヨーロッパ車の雑誌の記事で「このエンジンは1.7kg/cm^2という驚くべき高過給圧である」

などと書いているライターもいますが、おそらくこういう記者はこの絶対圧とゲージ圧の違いを理解

していないものと思われます。 きちんと勉強していただきたいですよね。

 

※なお、オイルポンプなどの油圧については日本でもヨーロッパでも共通で「ゲージ圧」で表記して

いるのが一般的です。 つまり油圧ゼロ=大気圧というわけです。

 

 

ちなみにこれとは別に「バール(bar)」という単位もありますが、これも本来は絶対圧による表記です。

つまり、大気圧である1気圧を1バールと表記します。

しかし、このバールはしばしば曖昧に使われ、私も当サイト内では考えもなくタイヤの空気圧や過給圧に

バールという言葉を用いてしまい混乱させてしまっていることも事実です。

というのも、このバールという単位は本来は絶対圧であるにもかかわらず、相対圧(ゲージ圧)としても

使われることが多く、たとえばタイヤの空気圧も「2バール」などと誤って書かれることも多いのです。

なので、これらの混乱を避けるためあえてゲージ圧力のことを「barg」、絶対圧のことを「bara」など

と分けて表記することで誤解を招かないようにする場合もあるようです。

↑私が普段愛用しているタイヤエアゲージ。 これは相対圧力でのバール表示となっていますので

そのままkgf/cm^2に置き換えて読んで問題ありません。 バールという単位は相対圧なのか絶対圧

なのか紛らわしいと言えます。

 

標準大気圧 760mmHg

ブースト1.5k

絶対真空圧

ゲージ圧(相対圧)

0kg/cm^2

1.5kg/cm^2

-760mmHg

絶対圧

1kg/cm^2

2.5kg/cm^2

0kg/cm^2

参考:SI単位(ゲージ圧)

0kPa

150kPa

-100kPa

また、ドイツでは「Torr(トール)」という単位も使われるようで、これは「760Torr=1bar」

となりますので、日本で言うmmHgと同じ値になります。

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