
●スパッタリングメッキの仕上がりについて発注前にご留意いただきたい事項です。

●ボブルビーのバッグ本体へのスパッタリング例
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●当方で一般的にプラスチック部品やホイール等のメッキに用いておりますスパッタリングメッキ
につきまして、便宜上「クロームメッキ相当の仕上がり」と表現しておりますが、現実には
仕上がりや品質面でクロームメッキとは異なる点もありますので、ご発注される前には以下の
樹脂スパッタリングメッキの基本的な特性につきましてご一読ください。
以下の説明事項はスパッタリングメッキに限らず、他の似たような工程の塗装メッキにも程度の
差こそあれ共通する部分もありますので、他の業者様に発注される際も参考になれば幸いです。
<項目>
スパッタリング工程は(1)ベースコートと呼ばれる専用のプライマー、(2)真空容器中でメッキ層
の生成、(3)表面を保護し光沢を出すためのトップコートに2液ウレタンクリアー(カラーメッキ
の場合はカラークリア)によって構成されています。
なお、このトップコートの表面硬さは処理後2〜3週間で鉛筆硬度でH〜2H相当となります。
(参考までに一般的なメッキ塗装のトップコート硬さはF〜HB相当が多いようですので、
メッキ塗装に比べれば表面硬さはスパッタリングメッキのほうが有利なことが多いです)
●クロームメッキと比較した場合にスパッタリングでの美観上のご留意いただきたい点
●ホコリ、チリの付着
いちばんの問題となる点は「埃のかみこみ」です。 実際に塗装をされている方でしたら経験
があると思いますが、塗装中あるいは乾燥中に空気中の埃が表面に付着してしまうことがあります。
もちろん、当方では設備の改善(ブース内の気圧の調整、静電気の除去、エアフィルターの装備)等に
よって埃のかみこみはできるだけ少なくなるよう日々努力しておりますが、15分もすれば初期硬化
してしまうウレタン塗装と違い、スパッタリングの下地に使用するベースコートは表面の乾燥に
1時間から3時間ほどかかるうえ、空気との反応による硬化をするタイプのために常に空気を循環
せねばならず、フィルターを通してもどうしても僅かな埃が付着してしまう傾向にあります。
しかも一度ついた埃は途中の工程では取り除くことができないため、最後まで残ってしまうのです。
比較的小さい部品ではまったく付着しないものも多いのですが、ある程度大きいものになるとどうして
もついてしまう傾向にあります。

↑中央部にホコリがついていますが、スパッタリングメッキの場合、これらを完全に
防止することは現時点では困難です。 小さいものの場合はまったくつかない場合も
ありますが、面積の広いものになるとどうしてもポツンポツンとつく傾向にあります。
●ゆず肌
次に、表面の細かい「ゆず肌」も素地状態やパーツの形状によっては気になる場合があります。
これは塗りっぱなしの塗装面を見ていただければわかりますが、一見、滑らかに見える塗装面でも
非常に細かい凸凹が生じます。 通常の塗装の場合はいわゆる「中磨ぎ」という工程で塗装面の
こうしたゆず肌を取りながら重ね塗りしていくのですが、スパッタリングメッキでは最初にベース
コートを塗ると手で触れることは一切できないため、こうしたゆず肌や上記の埃などを取り除く
ことはできないのです。
品物の形状や表面状態によって発生する程度に差はありますが、とくに近付いて見るとどうしても
細かな凸凹感はありますのでご了承ください。

↑ゆず肌の例です。 この写真は下地が粗い素材におこなった場合ですので通常はここまで
酷くはありませんが、仮にメッキ前に鏡のような完全な平滑面であってもスパッタリングの
場合は僅かではあってもゆず肌は必ず出ます。
通常は間近で見るとやや気になっても少し離れればまず気にならないレベルですが、このへん
も感覚や要求クオリティに個人差がありますので、いちおうご留意ください。
とくに平面の広い形状のもの(平面の多いデザインのフロントグリルやディッシュホイール等)
は目立ちやすい傾向にあり、逆に、R形状(カマボコ状のR面)は目立ちにくい傾向になります。
●ピンホール(ポツポツ)や下地浮き
これは素材との相性や下地塗料との相性など、原因は様々なため根本的解決は難しいのですが
スパッタリングメッキは多かれ少なかれ表面にポツポツとした、針の先で突ついたような痕が
残ることがあります。

↑これはPP樹脂部品へのスパッタリング例です。
表面にポツポツと見えますが、これはピンホールだけでなくホコリの付着もあります。
これらはスパッタリングメッキの工程的な要因以外に、素材とメッキとの相性や品質など
によっても発生の程度が左右されるため、当方でも日々できるだけの工夫はしております
が、根本的解決法というのは現在のところないのが実状です。
その他、ガスの発生の多い素材ではメッキが部分的に変色することがあったり、FRPや
レジン複製品など内部に気泡のあるものではメッキが浮いたり、大きめのピンホールが
避けられないものもあり、これら素材に起因する現象の場合は残念ながらメッキ作業では
対処のしようがないことがあります。
また稀ですが、下地に塗るベースコートの厚さのムラがタレのようなかたちで残ることが
あります。 この辺は技術的な改善課題ではありますが、とくに表面の粗さの目立つものに
こうした現象が発生しやすくなります。
また、一部車種のメーカー純正フロントグリル等でクロームメッキの上から塗装してある
ものは、この純正塗装の密着が弱いことから、この部分から浮きが発生することがまれに
あります。 当方でもあまり酷いものは修正しますが、完全には修正しきれずにこの浮き
が部分的に残ることがありますがご了承ください。 これはアルファードなどで多いです。
無塗装のクルマの樹脂部品、たとえばドアミラーやモール類、フロントグリルの多くは表面が
ザラザラな凸凹仕上(シボ仕上げ、あるいはサメ肌とも言います)のものが多いのですが、
これはこのままスパッタリングしてもこの表面のザラザラが残ってしまいます。
お客様のほうでそのままでも良い場合は構わないのですが、多くの場合はやはりメッキするの
ですから、このシボを埋めて塗装面と同様に滑らかな面の光沢仕上にしたいものと思います。
この場合は前述のベースコートの前に表面のサンディング(研磨)やウレタン塗装をすること
で平滑な光沢のある下地を作り、これによってこのシボなどをできるだけ埋めてからスパッタ
リングメッキをいたします。(ただし物によって凸凹の埋まる程度には差があります)
またもともと平滑な面の仕上の部品でも、中古部品等で傷や表面の荒れが酷いものにもこの処理
は有効ですので、こうした下地処理をおこないます。
この作業は別途料金となりますが、ご希望によりおこないますので見積もりや発注時にお問い
合わせください。(とくにお問い合わせがない場合でも、品物をお預かりした際におこなった
ほうが良い場合などは当方からおこなうかどうかをご相談いたします)
スパッタリングメッキは基本的に塗装のようにマスキングしての作業はおこないません。
厳密に言えばできないことはありませんが、塗装のマスキングのように綺麗にはいかず、
様々な不都合が生じるのです。
まず、マスクの境目のメッキがブチブチと荒れることがありますし、マスキングテープの
粘着材の影響でメッキが変色したり、マスクの境目からメッキが浮いたりしやすくなります。

↑マスキングテープによる変色の例。 やむを得ずマスキングの場合、このような状態
になるリスク(必ずなるわけではありませんが)をご了承のうえでお願いします。
また、塗装の場合はマスキングは生乾きの状態で剥がしますが、スパッタリングメッキの
場合は完全に硬化した状態でないと剥がせないため、メッキが割れたり剥がれたりする
ことがあります。
以上のような理由からマスキングはお薦めできませんが、どうしてもおこなう場合は
できるだけお客様のほうでマスクしていただくなどの対処で、なおかつ上記のような不都合
が出てもノークレームであることが前提となります。
ですので、メッキ不要部分がある場合はできればまず全面メッキしてその後にお客様の
ほうでメッキ不要部分を塗装(ウレタン塗装)にて上塗りしていただくほうが安全です。
※ただ、使用上どうしても必要なバイクホイールのベアリング穴やドラム内面、ディスクの
取付け面などは下地粉体塗装をおこなう場合のみやむを得ずマスキングをおこなっています。
スパッタリングメッキはメッキの仕上げに塗るトップコートのクリアーに半透明のカラーを
混ぜることで様々なカラーメッキを再現できますが、このカラーの色合いや濃さについては
必ずしもご希望通りの色調、濃さにできない場合があります。
もちろん、薄め、濃いめなどのリクエストにはできる範囲でお応えするようにしていますが
カラークリアは非常に微妙なため、基本的に結果は作業者一任ということでご了承願います。
このことは、たとえばホイール4本をスパッタリングメッキでカラー仕上げした場合、その後
1本のみ事故などで修正、再メッキした場合、完全には同じ色にはできないことを意味します
ので、複数の部品を同じ色、同じ濃さにしたい場合は同一ロットでおこなう必要があります。
ですので、カラー仕上げについては色調や濃さがお客様の仕上がりの想像イメージとやや
異なったとしても基本的にクレームは受けられません。
もしどうしても微妙な色調や濃さを再現したい場合は、当方では通常のクリアー仕上げにして
おき、後はお客様のほうでカラークリアを塗るか、別途塗装業者に依頼するなどしてください。
また、カラークリアは膜厚の微妙な差によって濃淡が変化するため、たとえば凹面部では濃く、
角など突端部では薄くなるため、パーツ形状によってカラーの濃淡のムラが生じます。
とくにブラックはムラや全体の粒子感が目立ちやすいので、これも事前にご了承ください。
●カラー仕上げについてはこちらのページにより詳しく載せていますので併せてご覧ください
スパッタリングは主に樹脂素材に多くおこなっていますが、その他、理由によりクロームメッキ
ができない場合の金属にも代用としておこないます。
とりあえず樹脂の場合で書きますと、メーカー純正部品に多いABSやPPの射出成形品には殆ど
の場合は大きな問題はなく行なえます(PP樹脂の場合は若干密着が悪くなる場合もあります)。
ただ、DIYで作成したいわゆるレジン複製品や社外パーツに多いFRP製品など、圧力をずに成形
したものにつきましてはメッキそのものは可能なのですが、内部にある微細な気泡が吹出して
部分的にメッキが浮いたり、細かいブツが残る仕上がりになってしまうことも希にあります。
もちろん、これを最小限に抑えるために表面の平滑化と目止めの意味をもたせて下地塗装を
してからメッキするなどの対応はしておりますが、それでも限界があるのが実情です。
FRP部品など、こうした素材に起因する気泡などが生じた際にはできるだけ当方でも修正は
しますが、完全には修正しきれず残ってしまう場合もありますのでご了承ください。
また、スパッタリングメッキはベースコート処理時に60度〜70度の温度(ライトリフレクター
などはもっと高温で処理します)で3時間ほど保持しますので、その温度に耐えられるもの
でないとなりません。
たいていのメーカー純正部品は問題ありませんが、社外部品の中にはこの温度で変型したり
するものもありますので注意が必要ですが、スパッタリングメッキの工程上、これ以下の温度
では処理できませんので、この温度で問題が出た場合のクレームはお受けできません。
FRP製品の場合、しっかり作られているものならばたいていのものは経験上問題は出ませんが
とくに薄く作られているものなどはこの温度でも若干の変型や反りが生じることもあります。
とくにプライ数が薄くペラペラなフロントグリルや、オートバイカウルなどは注意が必要です。
なお、ウレタン成形品は内部の気泡が多く、また、耐熱性も低いため基本的に処理不可能です。

↑試作ウレタン樹脂製エアロパーツに試験的にスパッタリングメッキをかけた例。
ウレタン樹脂やレジン複製品など、内部に気泡の多い素材の場合は最悪このようになって
しまうことがあります。
スパッタリングメッキは処理時に回転させながらメッキ層を生成させます。
ですので、ある程度しっかり固定しないとならないのですが、たとえばアイラインやコーナー
モール、サイドモール、エンブレムなどの類で、両面テープによって車両に装着するパーツの
場合、裏側に引っ掛けたり掴んだりして固定する部分がないパーツについては、当方では裏側
からテープにて固定する方法でおこなうしかありません。
しかしこの際、テープの粘着材の影響で部分的にメッキが褐色に変色(上記のマスキング
テープで焼けた写真のようになります)したり、側面(裁ち面)や縁のごく僅かな部分にメッキ
のつかない部分ができたりすることが希にあります。
残念ながら現在のところこれの根本的解決方法はないので、こういった固定困難なパーツに
つきましては、希とはいえ、このような現象が起きることをご了承のうえでお願いいたします。
一般にスパッタリングメッキの使用時の上限温度はだいたい60度から70度です。
しかし50度以上の温度に長時間さらされるとメッキの剥離や浮き、艶の退けや変色など
様々なトラブルの原因になりますので、実質的には50度以下が限度とお考えください。
もっと高温に耐えられる温度で処理することも可能ではあるのですが、その場合、その
素材が処理時の高温に耐えられるのかが問題で、仮に普通の樹脂部品でこれをおこなう
とたいていの場合熱で変型したり溶解することから、不可能な場合がほとんどなのです。
ただし、ライトリフレクターやエンジンカバーなどのもともと高温に晒される部品は素材
が高温に耐えられる材質でできていることが多いため、より高温で処理することで耐熱性
を高めた処理をおこなっております。 ですが、これでも90度程度が限界です。
前述のようにスパッタリングメッキのトップコートはウレタンクリアーですので、基本的には
塗装面と同様のお手入れ方法となります。
ただ、メーカー純正塗装に比べれば硬度が落ちますし、また、反射面ということもあり些細な
擦り傷も目立ちやすいので、乾拭きは厳禁で、コンパウンドの使用もお控えください。
通常はカーシャンプーなどの洗剤で洗い、ノーコンパウンドのワックスやコーティング剤で
仕上げてください。 ただ、攻撃性の強いもの(鉄粉除去剤や強アルカリ、強酸性のものなど)
や、「再塗装車には使用しないで下さい」と書かれているものは使用をお控えください。
その際、ブラシや雑巾は傷の元になりますので、柔らかいスポンジとネル布を使用してください。
また、フロントグリルやホイールなど、走行中の飛び石で表面のクリアーが剥がれたりした場合
は市販のタッチペンのクリアーで補修してください。
そのままにしておきますと、その剥がれた部分から内部のメッキ層が酸化してしまい、メッキが
透明化していくことがあります。
また、ガソリンやラッカーシンナーなどに対する耐性は、付着しても短時間で拭き取れば問題は
ありませんが、長時間付着したり、浸けたりするような場合は溶解しますのでご注意ください。
ブレーキフルードなど、塗装面を侵すようなケミカルについても付着しないようご注意ください。
なお、スパッタリングメッキした後、お客様のほうで上塗りペイントは可能ですが、使用する
塗料は2液ウレタンのものを使用して、硬化の際は常温でおこなってください。
スパッタリングの耐久性につきましては、これは千差万別で一概に何年もつとは言えません。
当方ではスパッタリングのトップコートに2液ウレタンを使用しておりますので、通常の
自動車塗装に近い硬さと耐久性、耐候性を持たせられるようにしておりますので、きちんと
お手入れして傷や磨耗などがなければ10年は充分にもつと言えますが、自動車やバイクの
使用に於いては、走行中の飛び石による傷、洗車時の傷や磨耗、鳥の粉や虫の死骸の付着、
鉄粉の付着、地域によっては塩害、また、装着場所によっては高温に常に晒されたりと
厳しい条件での使用が避けられないことが多々あります。
また、メッキする品物の下地の素材や状態によってメッキの密着度も変わってくるため
偶然に悪い条件がいくつも重なると1年ももたないケースも考えられます。
ですので、当方といたしましても申し訳ありませんが「保証」というものはつけられません
のでご了承ください。 ただし、基本的に最初の1ヶ月くらいは当方の原因による不都合に
ついては無償でやり直すなどの柔軟は対応はするようにしております。
よくあることなのですが、お客様がご自身でDIY塗装された品物をお預かりすることが
あります。 この場合、その下地塗装に使った塗料が2液ウレタン塗料であればまず問題
は生じないのですが、市販のラッカースプレーや水性塗料などを使用されたものですと
それにスパッタリングメッキすると、表面のシワやヒビ割れ、メッキ浮きの原因になり
ますので、できればこうしたものは避けてください。
また、サーフェーサー(プラサフ)やパテの使用も避けてください。 これらもスパッタ
リングメッキと相性が悪く、表面がザラついたり、気泡の原因になります。
やはりスパッタリングメッキの下地としては2液ウレタン塗料がもっとも相性が良いです。
●最後に
前述したスパッタリングメッキの品質上の宿命的問題(ホコリの付着やピンホール、
ゆず肌など)は、ほとんどの場合は部品単体で目を近付けて見れば気になっても、
車やバイクにとりつけて全体を見渡せばさほど気にならないレベルだと思います。
それでもあえて詳細にご説明したのは、このへんはどうしても感じ方や求める品質に
個人差があり、これまでご説明いたしましたスパッタリングメッキのこうした仕上がり
について気にされる方、とくに神経質な方、過度な品質を求められる方、たとえば
メーカー純正部品のクロームメッキのような高いレベルの完成度を求められる場合は、
事後トラブル回避の意味でもスパッタリングメッキはご遠慮いただいたほうがいいかと
思います。
結局、仕上がりが素晴らしいかわりに非常に高額になる樹脂クロームメッキと比較して
スパッタリングメッキをはじめとする、他の塗装に似た工程のメッキについては上記の
ようにクロームメッキに比べ仕上がり面で劣るぶん安価なことが特徴でもありますので
仕上がり等について妥協していただかなければならない面も多いということです。
もちろん、当方も常に改善努力はしておりますが、このようなスパッタリングメッキの
宿命的な現象については品物によって程度の差はあるとはいえ完全には避けられないのが
現状ということをご理解ください。
疑問点や不安な点につきましてはできるだけ発注前のお問い合わせメールなどで事前に
ご確認ください。 できるだけわかりやすく、正直にご返答させていただきます。
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