●エンジン部品の重量バランス取りについてのひとこと

●最近の量産エンジンは低騒音、低フリクション、低燃費のために非常に高精度な機械的精度が得ら

れていますね。 これらをひとまとめにすれば「高効率のため」ということになるかと思います。

ですが、レーシングエンジンを組むチューナーさんにとってはこれでも全然不十分なわけで、基本的

には「量産精度よりもヒトケタ上」の精度が要求される訳です。

すなわち、量産品の公差が0.02mmであるならば0.002mmまで追い込むということです。

 

●当然、これは寸法のみならず重量バランスにも言える訳ですが、これもまた最近の量産エンジンは

よくできていて、ピストンやコンロッドの重量バラツキも±1g以内というのも珍しくなくなった

ように感じます。  私の記憶では1960年代後半にデビューしたポルシェ930ターボのエンジンが

±3g以内というのが基準だったと思いますので、それを考えれば確かに凄い進歩です。

ですが、これもやはりレーシングエンジンレベルになるとまだまだな訳で、重量合わせの場合は

さらに2ケタ、つまり1/100g単位で合わせるようにしているチューナーさんも多いです。

 

●ここで「たった0.1gくらいバラついててもたいして変わらないんじゃないの?」と思う方も多いと

思いますが、これはエンジンが実際に作動(回転、往復運動)してる状態で考えるといかに大きい

バラつきになるかがよく判ると思います。

つまり、「0.1g」というのはあくまで1G下での「重量」ですが、ここでは物理的にいう「慣性マス」

のほうが大きな問題になります。

 

●例えば往復運動するピストンはその作動時には決して1Gでは動作してませんよね。 ピストンは

絶えず上死点、下死点で速度0になり、ストロークの中心付近で最大速度に達します(その平均を

とったものが平均ピストンスピードということで、これがレシプロエンジンの最高使用回転数を

決める大きな設計基準になってます)ので、仮にGT-Rのエンジン、RB26DETTで例えますと、

ストローク73.7mm、回転数8000rpmの状態で平均ピストンスピードは約19.65m/sec(つまり

最大時はその倍)になり、その時にピストンにかかるGは約2000Gを超えますから、単純に考え

ただけでもたとえ0.1gのバラツキでも2000倍、つまり200gもの誤差となって現れるわけです。

つまり量産レベルで考える1gのバラつきだったら、2kg相当ものバラつきになるということに(笑)

これが10000rpmにもなったらあっという間に3000Gを超えますから、より重要になりますね。

もちろんより高回転なエンジンほどこの差は顕著に現れますので、こうした往復運動部のバラつき、

さらに部品そのものの重量の軽減というのはより重要になってきます。

「このエンジンは特定の回転域で振動が出る」「このエンジンは振動が多い」なんてのがありますが

これらも重量バランスや各部のクリアランスをキッチリ取って組み直すと見違えるようになる場合も

多いですね。

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