●一般的な硬質アルマイトよりさらに硬い「超硬質アルマイト」スーパーハードアルマイト
●アルミ合金の耐摩耗性表面硬化処理として「硬質アルマイト(ハードアルマイト)」
が一般的によく使われます。 ですが当方ではこのような用途の場合、こうした一般的
な硬質アルマイトよりもさらに硬く、耐摩耗性に優れた「超硬質アルマイト」である
「スーパーハードアルマイト」をおこなっております。
※この処理は今まで「ハーダーマイト」という名称でおこなっておりましたが、この名称
が他社の登録商標と重なってしまっていたため、呼称を「スーパーハードアルマイト」と
変更いたしました。 なお、処理プロセス、皮膜性能、特徴などには一切変更はありません。
↑ディスクローターベルにスーパーハードアルマイトを施した例。 素材はA7075。
●概要
スーパーハードアルマイトの処理の概要は基本的には硬質アルマイト同様、アルミ表面に
硬質酸化皮膜を形成するものです。 ですので、メッキ等のように他の異種金属を表面に
コーティングするわけではなく、アルミの表面自体が超硬質皮膜に変化するものですので、
メッキやコーティングのように剥がれるような皮膜ではありません。
※ただし鋭角部は欠けやすいので、角部はできれば0.3以上のRかC面取りをしてください。
●皮膜厚さ
基本的には0.03mm〜0.05mm(30ミクロン〜50ミクロン)となります。 ただし、この
厚さがそのまま素材表面にプラスされるわけではなく、通常のアルマイトと同じように
「素材表面より内側に50%、外側に50%」皮膜が形成されることになります。 つまり、
全体の寸法的には皮膜厚さの半分がプラスされる(たとえば皮膜厚さが0.03mmだった場合、
もともとの素材表面に0.015mmだけ太るということ)というようにお考えください。
●硬さ(硬度)
通常の硬質アルマイトではロックウェルCスケール(HRc)換算で40〜45程度ですが、
スーパーハードアルマイトは同じくHRc換算で、より硬い45〜55弱程度の硬さの皮膜が
得られます。(ビッカース硬さで比較しますと、通常の硬質アルマイトがHv350〜450程度
が多いのに対してスーパーハードアルマイトはHv400〜550程度とより硬い皮膜が得られます)
※これは硬質アルマイト関係の処理全体に共通のことですが、そのアルミ合金の成分や皮膜
厚さの違いにより得られる最終的な最高硬さは変わってきますので、上記硬さはあくまでも
参考値であり保証値ではありませんのでご了承ください。
↑スーパーハードアルマイト皮膜の硬さは最表部よりも深部のほうがより硬くなる特性があります。
<参考> 各アルマイト皮膜の表面硬度(硬さ)
|
|
|
|
|
|
|
|
※なお、「硬質アルマイトまでは必要ないが、通常のアルマイトよりは硬めの皮膜が欲しい」という
場合はスーパーハードアルマイトではなく、通常のアルマイトを厚くつけるという方法でも可能です。
これはスーパーハードアルマイトよりかなり安価でできます。
詳しくはアルマイトのページにて。 →通常のアルマイト、カラーアルマイトの詳細ページ
●耐摩耗性
スーパーハードアルマイトの耐摩耗性は非常に高く、米国のMIL規格(MIL-A-8625C TYPE3-C1)
をクリアーしており、テーバー摩耗テスターCS17(10000サイクル、荷重1000g)試験上では
ハードクロームメッキ(Hcrメッキ、硬質クロームメッキ)の3倍もの耐摩耗性をもっております。
●耐候性、耐蝕性
JISによる塩水噴霧試験240時間に於いてもまったく問題はありません。 また、水道水に
よる浸漬試験では5年以上、中には10年でも問題のないという結果もあります。
●色および光沢
色は基本的に「自然色」のみとなりますので、素材によって色調は変わりますし、光沢に
ついても同じですので、色、光沢については「結果オーライ」ということでご了承願います。
一般的に色は淡いグレー〜やや緑色がかったグレー、光沢は半光沢程度になることが多いです。
また、同じ素材、同じ品物であってもその都度、ロットによって見た目に微妙な差が出ます。
※実際にはスーパーハードアルマイトもカラーアルマイトのように黒や赤などの着色もできないこと
はないのですが、色がくすむうえに、カラーをつけると表面硬さが若干低下してしまうため
に基本的には「機能最優先」ということで着色(カラー)仕上げは受けておりません。
しかし、どうしても着色を希望という場合は「黒」のみ受け付けいたします。 他の色がご希望の
場合はそのつどご相談ください。
●導電性について
スーパーハードアルマイト皮膜は電気の不導体皮膜となります。ただし完全な絶縁体ではありません。
●処理できる素材
基本的にはアルミニウム、およびその合金であれば1000番台〜8000番台まで全て可能です。
なお、アルミダイキャスト製品やアルミ鋳物については基本的にはお受けしておりませんが、
処理不可能というわけではありません。 ただ、鋳物やダイキャスト製品はどうしても素材の
質のバラツキが多く、結果としてスーパーハードアルマイト皮膜の性能が十分に発揮されない
こともありますのでご了承ください。
なお「素材の種類が全く不明」な場合はお受けできない可能性もありますのでご注意ください。
また、これはスーパーハードアルマイトに限らずアルマイト関係全般に共通する注意点ですが、
処理する素材はアルミの単一素材である必要があります。
たとえば鉄鋼やステンレスなど、他の素材のものが圧入や組み込まれたままの状態では
処理できませんのでご注意ください。(そのまま処理すると異材部分が溶けてしまいます)
●金額
スーパーハードアルマイトは特殊な処理のため、価格は通常の硬質アルマイトよりはやや高めになります。
↑一例として、このオートバイ用ディスクベル(A2017材、外径約220φ)標準膜厚0.03mm
の場合で、1枚8000円〜9000円ほどになります。
ただし、これは1枚のみの依頼の場合の単価で、たとえば同じ物を2枚同時発注であれば1枚あたり
の単価は上記金額より1割から2割程度は下げられます。
これは、スーパーハードアルマイトの単価は基本的には品物の大きさ(表面積)によって変わるの
ですが、それ以外に「1サイクル(1ロット)で何個同時に処理できるか」でも変わってくるからです。
逆に言うと、1回の処理サイクルでの最低費用は品物の大小にかかわらず同じだけかかることから
たとえば小さなネジ1本だけという場合でも最低3000円はかかってしまうのです。
↑一例として、写真のジュラルミン製ホイールナットの場合で素地状態からスーパーハードアルマイト
をかける場合、1個だけの場合は単価約4000円になりますが、写真のように20個セットであれば
1個あたりの単価700円〜800円程度になります。つまり20個で約14000円〜16000円です。
ですので、こういう場合は同じもの(同じ材質)なら数量は多くあったほうが1個あたりの単価
はその数に応じて下げることが可能になります。
なお、スーパーハードアルマイト層厚さは0.03mm(30ミクロン)が標準となります。 とくに
指定のない場合はこの厚さで処理いたします。 通常の用途ではこの厚みで支障ないはずです。
※もっと厚くつけることも可能ですが、たとえば0.05mm(50ミクロン)にすると金額がほぼ倍に
なりますので発注の際はご注意ください。
●納期
納期は基本的には10日間〜2週間程度が目安です。(連休を挟むときなどはそのぶん延びます)
※とくに急いでいる場合などは、そのときのスケジュールによっては1週間程度でできること
もありますが、その場合は特急料金として通常より2〜3割ほど高くいただく場合があります。
<その他の注意点>
●スーパーハードアルマイトに限らずアルマイトは電解処理ですので、必ず電気の接点をとる
ポイントが必要になります。 通常、このポイントは品物にある穴を利用するなどできるだけ
痕が残っても目立たないような箇所を選びますが、たとえば完全な平板や円盤など、穴がない
品物については、表面のどこかに接点をとらないとなりませんので、外周のどこか、或いは
全周にわたり接点の痕が筋状に残りますのでご了承ください。
↑接点痕の例。 このように穴の内部などに処理時の接点痕が残りますのでご了承ください。
もし、「この穴は重要なので接点に使用しないで欲しい」という要望がありましたら発注時
にお知らせください。 そういった特別な要望がない場合はどの穴を接点に使用するかは当方
に一任とさせていただきますのでご了承ください。
●なお、現在既にアルマイトがかかっている製品をスーパーハードアルマイトにかけ直すことも
できないことはありませんが、現在かかっているのが通常のアルマイト・カラーアルマイトに限ります。
既に硬質アルマイトがかかっているものをスーパーハードアルマイトにかけ直すことは基本的にNGです。
なお、この場合は旧アルマイト皮膜を剥離し、場合によっては電解研磨やサンドブラストをします
ので、寸法が0.01mm〜0.03mm(10ミクロンから30ミクロン)程度痩せますので、たとえば
ノックピン穴やベアリング圧入穴などはガタになる可能性があるのでご留意ください。
(ただ条件によっては逆に太る場合もあります。 たとえば最初のアルマイトの厚さが0.01mm
だった場合、これを除去することで0.01mm痩せるとします。 そのうえで0.03mmのスーパーハード
アルマイトをかけるとその厚さの半分、即ち0.015mm太りますので、最初の状態よりも0.005mm
太るという具合です。ただこのように太るというのはごく稀だと思われます)
また、再処理することで表面粗さが粗くなったり、もともとのアルマイト皮膜が均一にかかって
ない場合などはモノによってはところどころ虫食いのようになったりして美観を損ねることが
ありますのでご了承ください。 ですので正直なところかけ直しはあまりお薦めはできません。
(これらの点は何もスーパーハードアルマイトに限らず、通常アルマイトのかけ直しにも共通のことです)
また、この場合は通常のスーパーハードアルマイト費用の他に旧アルマイト剥離および電解研磨の費用や
工程がかかりますので、通常のスーパーハードアルマイト処理だけの場合より金額、納期ともに倍程度
かかります。
<参考>自動車、バイク関係でスーパーハードアルマイトが有効と思われる部品
ブレーキディスクのベルハウジング、アルミ製クランクプーリー等、アルミ製スプロケット、
アルミ製バルブスプリングリテーナー、ホイールナット等の各種アルミ製ナット・ボルト類、
バックステップ、アルミ製ギヤー、その他アルミやジュラルミン製で摩耗、摺動する部品。
もちろん、自動車やオートバイ関係以外でも一般機械部品、精密機械部品でスーパーハードアルマイト
が有効と思われるアルミニウム、アルミ合金の部品についてはほとんどのものは処理可能です。
●個人のお客様、法人のお客様を問わず小さな部品でも1個から受け付けいたします。
●以上ですが、より詳しい説明はメール等でのお問い合わせの際に追加でご説明いたします。
お問い合わせ、ご発注は以下のメールアドレスおよび問い合わせフォーム、携帯電話にて。
→メインのメールアドレス SASAMIC43@aol.com
→サブのメールアドレス FZB04140@nifty.ne.jp
→携帯電話 090-1531-3609
トップに戻る | 製作加工可能材質 | ひとこと | 今までの実績 | お支払いとか
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||